京都の京建具

格子について

京格子の話

京都の町並みもずいぶんかわってまいりました。
中京や、西陣には入り口をのぞいて、京格子が連なった町並みもあちこちに残っております。
このように大きな開口部に細かい格子を嵌め込んだ住まいの様式は、道路から内部が見えにくく、内からは外がよく見え、明かりも風も良く通し、格子を取り外しできる健具化することにより、見透かすことのできなかった家の中は、格子を外すことにより大きく開放され、祇園際や氏神様の祭礼の日に赤い毛氈を敷き、家宝の工芸品を飾り、京都の町衆の洗練された暮らし振りを披露し、あわせて若い工芸家に勉強の場を提供しておりました。
普段はつつましく暮らし、決して財力を誇示することなく、表の構えはあくまで質素に作られ、他人より突出することをきらった京町衆の知恵が、このような統一された町並みを作り出したものとおもいます。
一見どの家の格子戸も同じようですが、よく見ると微妙に変化しそれによって隣の家との差別を作り出しております。

このような町屋の外部は、生地のまま仕上げるのではなく弁柄で色付けがほどこされております。
弁柄とは、インドのベンガル地方で産出する顔料で、練り墨を加え熱い番茶でといて好みの色になるように調合し、使い古いしの布に種油を含ませ、木に浸透させるようにして仕上げます。

さて、京格子といっても、職業によって次のような名称の格子があります。

台格子

・米屋格子(生地のままの荒格子)
・酒屋格子(色付けをした荒格子)

ともに重い米俵等を積上げたりするので、頑丈な格子で太さは90ミリ~105ミリ角ぐらいの格子が造作に組み込まれ、取り外しはできません。
小丸太を二つに割って作られた格子を木格子といって、油屋、米屋等によくつかわれているものもあります。

出格子

・見張格子(遠見格子、吉原格子ともいい、花街に多くみられる)
・高格子(塀等にもちいる)
・吊格子(上より吊り下げた格子)

平格子

・糸屋格子、仕舞屋(しもたや)格子

ともに親子格子で、京都の町並みを形づくっている代表的な京格子です。
この格子は取り外しができます。その為、約一メートル位で分割し、嵌め込んだときには、一枚の格子戸に見えるように工夫されています。
そのため親子格子(子持格子)にいたします。
親と子の格子見付(太さ)の比率は、親の半分が子の見付で、空きは子の見付に近い大きさで割られております。
貫は、親の見付にいたします。
子の数は施主の好みにより、一本~四本位のものがあります。
親の格子見付は、30ミリ~60ミリ位あります。
格子の見付にかかわらず、四周の見付は、45ミリ~50ミリにいたします。
四周の見付が大きくなりますと、大変見苦しくなります。
糸屋格子は切子格子(一番上の子の格子を適当な長さに切り落とした格子)といたします。
糸屋格子の場合は、空きの1/4を残して切り落とします。
仕舞格子の場合は、切子格子にはいたしません。
その代わり上部より300ミリ位のところに中敷が一本はいり、そこのところは、連子格子が組み込まれております。

細目格子(ささめ格子)

竪子の見付を猿頬面取りとしたり、ただ細めの格子を僅かな空きを残したもの。
小間物屋格子、御茶屋格子ともいわれております。

木返格子

格子の割付が格子の見付と隙間がほぼ同じぐらいの格子。

連子格子

格子の隙間を60ミリ~120ミリ位で割られ、一本ないし二本の貫でつなぎあわした格子で、おもに窓に取り付けられております。
茶室においては白竹を用いた連子窓が多用されております。

竹格子

木の代わりに竹を使った格子で、数奇屋風建築によく用いられております。
竹格子の建具は、茶室の中門(特に梅軒門は有名)や、茶室の玄関、数奇屋風旅館の客室の入り口に使われております。

目板格子

雨戸板の突合せの隙間から雨水や光が入ってくるのを防ぐために突合せの裏側に幅24ミリ厚み3ミリ位の薄い板を取り付けます。
その板を目板といっております。
そのような板を隙間が3~6ミリ位あけて裏桟に鉄の太鼓鋲で打ちつけた格子。
目板の幅は12ミリ~24ミリ位で、通り庭の仕切りに使われておりました。
飛騨高山では板間の仕切りに使われ、桟と桟の間に嵌め込みの障子を入れ夏には障子を取り外し、風が通るように工夫されております。
目板格子戸は、京都では紅殻で色付けをして仕上げ、飛騨高山では、飛騨春慶の漆を塗って仕上げております。